焦点は欧州危機
今回のレポートでは、来年2012年の世界経済と日本経済の見通しについて取り上げたいと思います。まず世界経済の見通しですが、焦点は欧州危機の行方です。ギリシャ問題で極めて深刻な事態が浮き彫りになり、ユーロ圏内第3位の経済規模のイタリアに飛び火。両国では政権交代となりました。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「世界経済は危険な状態にある。債務危機(ソブリンリスク)は公的債務と金融システムの堅実性に対する信任の危機だ」と警笛を鳴らしています。問題の本質はユーロ圏内17カ国で通貨は統合されたにもかかわらず、各国の財政はバラバラのままということです。先日の欧州連合(EU)首脳会談でも今後の財政監視システムの構築などが決まっただけで、今、燃え上がっている危機を消し止めようする具体策の決定は先送りされました。具体策の一つは、欧州中央銀行(ECB)かあるいはIMFが債務危機を抱える国の債権を直接買い上げることですが、伝統的にドイツの影響を強く受けるECBは、こうした手法に及び腰で踏み切れませんでした。こうした状況は、比較的安定していると言われていたドイツやフランスの国債発行にも影響を及ぼし始めていて、危機の深刻化に拍車をかけています。
米国と中国の経済見通しはどうでしょうか。米国は、やや明るい兆しが見え始めてきました。底堅い個人消費に支えられている状況ですが、本格的な景気回復には力強さが欠けていて、注視し続ける必要があります。大統領選挙に絡む政策不在も懸念材料です。中国経済は、減速が顕著になったことから景気刺激型の政策に舵を切りつつあります。政策発動余地があることから、世界経済に与える影響はプラス要因と言えます。
日本経済の見通しはどうでしょうか。来年前半は震災からの復興需要も有り、底堅い見通しです。震災やタイの洪水被害などで寸断されたサプライチェーンの復活も輸出関連企業にとってプラス要因です。だだし、後半はこれまで述べてきた世界経済の行方に大きく左右されそうです。特に欧州危機の深刻化は、外需の落ち込み、円高・ユーロ安の進行、欧州の銀行の資産圧縮による国際金融市場の混乱といった経路で日本経済にも悪影響を及ぼすこととなります。また、少なくみても13年続くデフレーションからの脱却が経済政策の最優先課題ですが、政府と日銀が一体となった力強い政策の遂行意思は伝わってきません。長引く「超円高」の主要な要因もデフレであることと考え合わせると政府と日銀の政策優先度の設定の過ちは看過できません。
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